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2009年2月14日 (土)

「出社が楽しい経済学」の放送『第6回 逆選択』監修者の言い訳

家庭の都合で、今回は番組の放送時間帯に新幹線での移動を強いられ、残念なことに、番組をみることができませんでした。数日してから録画したものをみるしかないのですが、第6回はこの番組の忘年会で完成版の試写があったため、すでにみていると言ってもいいでしょう。
NHKの番組制作スタッフは、明らかに、この回の「ドラマ」が一番おもしろいと思っているようです。ただし、説明している概念は、全12回の中でもむずかしい部類に入ります。
経済学者が一番重視するものは「インセンティブ(第4回のキーワード)」で、インセンティブが歪んだ(悪い方向への)影響をもたらす問題のひとつが「モラルハザード(第5回のキーワード)」。モラルハザードの背景には、「情報の非対称性」と呼ばれる状況がありましたが、今回の「逆選択」も情報の非対称性が原因で引き起こされる問題です。
それで、番組の本にはきちんと書いてありますが、情報の非対称性は、商品やサービスや労働の売り手(供給側)が情報面で優位にあるケースだけでなく、反対に、商品やサービスや労働の買い手(需要側)が情報面で優位にあるケースもあります。しかし、逆選択の話では、他にもややこしい説明をいくつかする必要がありますから、番組では、売り手が情報面で優位にあるケースを前提に話を進めました。
NHKのスタッフ側は、当初、前半のドラマの中心になる題材として「出会い系サイト」を選択していましたが、中学・高校生向けの教育にも使えるような番組という点を重視していた私が強く反対、結局、出会い系サイトの話は残すものの、中心の題材は「怪しい投資話」となりました。
それで、今度は、「本当に儲かる投資話」と「本当は詐欺的な投資話」の2種類があって……という説明が用意されたのですが、これにも私が難色を示しました。電話で勧誘してくる投資話について、逆選択が起きなければ「本当に儲かる投資話」が存在するとの説明は、誤解を招く危険性がある……なぜなら、逆選択が起きなくても、電話で勧誘がある投資話の中に「本当に儲かる投資話」なんて存在しないからだ! と強く主張したのです。
このように何度も、私が個人的な意見を強く主張しましたので、この回の台本作成では、番組制作スタッフがかなり苦労したと思われます。そういった意味の思い入れもまた、強いのかもしれません。

つぎの第7回は「価格差別」です。
本当は初回に持ってくるはずでした。経済学のおもしろさを伝えようとするときに、経済学者がよく使う、まさに定番のネタだからです。ところが、第7回の台本作成前の打ち合わせもまた、すごく長い時間を要することになりました。その顛末の一部は、番組の本でディレクターが書いていますが……くわしくは、第7回放送後に?……本当に来週その話を書くかどうか、確約はできませんが、覚えていたら書きます(最近、本当にいろいろなことをすぐ忘れますので)。

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コメント

はじめまして

tv楽しく拝見させていただいております
おっしゃる通り、今回の「逆選択」は難しかったですがcoldsweats01
少なくとも、シグナルの大切さを知るきっかけになりました。
ありがとうございます。

問題は、「何の」シグナルなのかを冷静に判断することなのかなと思います。
ただ、現実の経済は流れが早く、なかなか余裕がありませんが、、、、

次回も楽しみにしておりますhappy01


投稿: かめ | 2009年2月15日 (日) 12時02分

 シグナリングという考えにふれることで世の中の見方が変わることができました。例えば,選挙も経済的活動ではありませんが,よい人を選ぶという意味では同様に考えられました。そして日本の政治の問題は,被選挙者の適切なシグナルを読み取らないことが大きな原因であることに気づきました。
 
 少し話がずれているかもしれませんが,シグナルや逆選択の考えをいろんな場面に応用しようと思いました。
 
 ありがとうございました。
 
 
 

投稿: モタモタ | 2009年4月 5日 (日) 20時49分

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