「出社が楽しい経済学」の放送『第8回 裁定』監修者の言い訳
現実には「裁定」のチャンスはほとんど存在しない。他方、「投機」は世の中にあふれている。しかも、本人は「確実に儲かる取引」をしていると信じているのだけど、非常に危険な投機をしているというケースもよくある……偶然にも今日、その強烈な典型例を実際にみてきました。
先日のブログにコメントがついていますので、そのネタについて書きます。コメントは、兵庫県朝来市の市議会議員の先生からで、今日、私が朝来市に行くことにふれて、その先生は参加できないけれども「よろしく……」と書かれていました。
兵庫県のローカルニュースとしては、主要紙や複数のテレビが報じているようですが、朝来市は108億円の基金の大半を怪しげな金融商品で運用していることが発覚しました。かつてこのブログで、大学の巨額損失の話を書きましたが、そこにも出てきた非常に悪質な金融商品です。
ところが、運用の責任を問われた市長は、「安全な運用で、まったく問題ない」といった趣旨の説明を市民に向かってしているとのことです。あきれたことに、兵庫県までもが、同じようなコメントをしています。ちなみに、私が住む名古屋市も、ほぼ同様の運用をしているらしいことが、先週の日経に出ていました(日経の記事を読んだだけではわからないような書き方でしたが、事情を知っている人間が読めば、わかる記事でした)。
なお、名古屋市役所は、借金の際にも強烈なギャンブルといえる借り方をしていることが、2年ほど前に指摘されており、運用のほうでも危険性の強いギャンブルをしていますから、税収はギャンブルのタネ銭だと思い込んでいるようです。「ギャンブル中毒市役所」と名前を変えるべきでしょうね(ついでに「おバカ」という言葉もつけるべきですね)。さすが、パチンコの本場……などと笑うわけにはいきません。私が一所懸命働いて稼いだ所得から支払った税金が、ギャンブル狂の名古屋市役所のギャンブルのタネ銭になっているのですから。もちろん、激怒しています……さっさと名古屋市以外に「ふるさと納税」をしなくては、ねぇ、善良な名古屋市民のみなさん!……実際には、面倒なので、私はしない可能性も高いのですが、そう思うぐらい怒っています(当然ですよね)。
それで、兵庫県が、兵庫県内にある朝来市の危険な運用を「問題ない」と片付けようとするのは、借金の際のギャンブルを兵庫県もしているし、兵庫県の中心都市である神戸市もしている(これらは約2年前に指摘されていた)という事情、また、兵庫県内には朝来市以外にも、同様の問題を抱える市がありそうだといった事情があります。
要するに、県下の地方自治体にギャンブル中毒が蔓延しすぎているうえに、兵庫県そのものもギャンブルに手を染めているので、「これはギャンブルじゃない」と言い張るしかないのです。
このブログを読んでいるみなさんの住んでいる地方自治体も、もしかしたら、みなさんが支払った税金をタネ銭にして(あるいは将来の税収をカタにして)為替レートや株価の変動に賭けるギャンブルをしているかもしれません。残念ですが、その確率は意外に高いのです。
「確実に儲ける方法の裁定と投機のちがいに注意を!」という居相田係長の指摘は、日本各地の地方自治体にこそ聞いてほしいものです。
なお、どういった内容のギャンブルかについては、運用のほうは拙著『金融商品にだまされるな!』の最終章に、借金のほうは拙著『金融機関のカモにならない!お金の練習問題50』の最終問題で紹介しています。ともに2007年11月に出版した本ですが、じつは、地方自治体などの危険なギャンブルを警告したいという意図もありました。
それで、私の予言通りに、社会問題化しようとしているのですが、隠蔽しようとするところも多い。ですから、きちんと表面化させて、問題に対処しようとしている朝来市に対しては、できるだけの協力をしたいと考えています。
さて、次回の番組のテーマは「囚人のジレンマ」。いわゆるゲーム理論が登場します。私は、じつは中学生のときに講談社現代新書と講談社ブルーバックスで、ゲーム理論の本を読んでおり、経済学部に進んで、ゲーム理論が出てきて、囚人のジレンマが出てきたときには、懐かしく感じたものです。
表が出てきて、その表の読み方に慣れるまで戸惑いやすいのがゲーム理論ですが、番組の担当ディレクターが必死になってわかりやすくしてくれています。ぜひ、お楽しみに。
番組のガイドブックをお持ちの方は、手元に置いて番組をみていただくといい回です。なお、ガイドブックに出てくる表は、担当ディレクターが橘玲先生のご著書を参考に作成していますので、どこかでみたことがあると思われた方、そう、どこかでみたような表になっています……私は他人のアイディアの真似はできるだけ避けたいと思うのですが、NHKの番組制作者は、番組をわかりやすくするためなら、そんなことは気にしないので……とにかく、必死にわかりやすくしたはずの回を、どうぞお楽しみに。
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