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2009年3月14日 (土)

「出社が楽しい経済学」の放送『第10回 共有地の悲劇』監修者の言い訳

昨日、コミック版刊行のお知らせを書きましたので、今日のブログは短めに。
今回の「共有地の悲劇」では、私が話す2つの解説コーナーの後半をどのような内容にするのか、かなり悩みました。じつは、当初は「市場原理主義批判に答える」といった内容を考えて用意していました。それで、収録時に土壇場で変更したのですが、もともと話そうとしていたのは、つぎのような話。

市場や価格の役割を重視して、経済活動はできるだけ自由におこなわれるべきだと考える経済学者は、市場や価格の働きのすばらしさを信じているという意味で、市場原理主義と呼ばれたりします。その意味では、私も市場原理主義者です。
ただし、市場の働きを重んじる経済学者は、どんな経済活動でも自由にさせろ、とは言いません。この点を誤解している人も多いようです。
ポイントは、いつもインセンティブにあります。個人や企業が自由な行動をする際に、社会全体の経済効率を高めるようなインセンティブが働いている場合には、できるだけ、規制などをせずに、自由にやらせろと主張します。しかし、社会的に望ましくない行動を取るようなインセンティブが働いていて、インセンティブが歪んでいるときには、それを修正するための制度や政策が必要だと、市場原理主義と呼ばれる経済学者も考えます。
環境問題のような、共有地の悲劇では、もちろん、インセンティブの修正が必要です。修正の際に、価格の働きを利用するやり方もあります。たとえば、誰のものでもなかった共有地に所有権を設定すると、その所有権には価値がありますから、価格がついて売買されるようになり、適切なインセンティブが働きやすくなります。有害な排出物を排出する権利を売買する、排出権取引とか排出量取引と呼ばれるやり方がありますが、これも、本来は誰のものでもない環境に、所有権を設定しているわけです。
こういった解決策を提案する経済学者は、大きな問題を解決するには、多くの人や企業のインセンティブに頼るのが、コストを小さくして効果を大きくする方法だと考えています。

ここに引用した原稿でそのまま話をして収録していたら、「私も市場原理主義者だ」と堂々と宣言することになり、いまは、市場原理主義者という言葉は非常に悪いイメージで使われていますから、どういった反応を引き起こしたのか、ちょっと興味がありました。その点では、上記の原稿のように話したかったのですが、せっかく経済学に興味をもってもらうための番組をやっているので、私がどんな主張をもっているかを説明する時間があれば、その代わりに、基本的な内容の説明をすべきだということになり、実際の番組で流れた話になりました。

次回は「割引現在価値」です。あと2回です。
小難しそうなキーワードですが、おカネの運用で失敗しないためには、ぜひ知っておくべき内容です。あと2回だけですから、ぜひとも、2回ともみていただければ幸いです。

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