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2013年4月25日 (木)

拙著『日本の景気は賃金が決める』から削った内容の紹介 政府の白書がもっと読まれることを期待する理由

過去のブログなどを読んでいただいた方はご存じであったりすると思いますが、私は、1冊の本を書くときに、多めに書いてから何割かを削って完成させます。今回の『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)でも、ある程度削った部分があります。そのひとつをご紹介します。

ところで、ここ数日のあいだに、ネット上のカリスマである小飼弾さんと橘玲さんのブログで拙著の書評を載せていただいたのですが、共通して引用していただいた図表がこれです。
62_5
この子供の貧困についての驚くべきデータは、じつは、2011年と2012年の何冊もの白書で強調されていたものです(オリジナルにはもっと詳細なデータが載っています)。この表は私がポイントだけ整理したものです。
それで、拙著の原稿で削ったもののひとつが、日本政府の白書があまりにも読まれていないことについて、もっと読まれるようにしないとダメだと強調した部分です。日本では子供の貧困の問題がひどいことを、OECDが指摘して、それを日本政府は隠すのではなく、子育てについて取り上げた白書では、必ずといっていいほど掲載し、強調してきました。もちろん、子ども手当と高校無償化をひとつの売り物にした民主党政権下の政策を正当化しようという意図が働いたのかもしれません。……ただし、拙著で解説したように、そうした単純なバラマキがむしろ問題だったともわかる皮肉なデータなのですが。
いずれにしても、子育てや経済格差といった問題に関心がある人が、それに関連する白書のどれかを読んでいれば、すぐに気がつく可能性が高いデータでした。それなのにあまり話題にならず、しかし、改めて示されると、多くの人が重要なデータだと感じてくれます。
つまり、日本政府が相当なおカネと人材(労力)を注ぎ込んで毎年作成しているたくさんの白書のうち、経済社会に関するものは、社会的にほとんど活用されていない状況なのです。昔は、経済白書がもっともっと読まれていて、経済学部の3・4年生なら、経済白書と通商白書を読むのがふつうで、ビジネスマン向けにも、経済白書を全文掲載して関連記事もつけたものが、ビジネス週刊誌の特集号として書店に山積みになっていました。
その後、経済白書の執筆者たちがやたらに内容を専門的にしてしまい、それで読まれなくなりました。しかし、いまの白書はかなり読みやすくなっています。
アベノミクスの金融政策は、国民の予想(期待)に働きかけるものです。しかし、日本国民の大多数は経済の論理にくわしくないので、そうした政策の効果を高めるには、下地として、国民に日本経済の現状や基本的な経済のしくみをわかりやすく説明する努力も重要になるはずです。
それなのに、マスメディアさえ、基本的なデータをまったくみようとしない。
この問題についてのいちばんの対策として、筆者は、経済系の白書の活用を強く推したいところです。昨年の夏に出た「経済財政白書」や「労働経済白書」は、日本の景気や賃金や消費者物価について、本当に役に立つ分析をたくさん載せています。
今年の白書もまた、景気・賃金・消費者物価についての分析をたくさん載せるでしょう。白書には、政府の政策を肯定しようという意図も入りますが、そのあたりを推測しながら読みこなすために、昔は、白書を全文掲載しながらも、独自の解説がついたビジネス週刊誌の特集号がたくさん売れたのでした。
皮肉なことに、いまでも経済系の白書を全文掲載して独自解説もついた本の発行が毎年続いているものがあり、それは、アメリカ政府が出すアメリカの経済白書(のようなもの)を全文掲載したものです。しかし、日本の経済系の白書については、そんなものは出版されなくなりました。……嫌になります。
とにかく、経済系の白書がもっともっと読まれるようになることを願っています。

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