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2013年4月29日 (月)

拙著『日本の景気は賃金が決める』のポイントは「賃金格差が景気を決める」と主張していること

スティグリッツ教授が、「アメリカ(米国)は先進国中、最も不平等な国」といっている記事を読みました(無料部分だけですが)。つぎに、中国の格差についての記事も読みました。下記のものです。
ところで、拙著『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)の内容について、ネット上の書評などだけで論じて、いいかげんなコメントを書く人たちがネット上にいろいろといます。まあ、ネットなんてそんなものなので、仕方がないのですが、ネット上の情報を検索して読んでからネット書店で本を買うタイプの人たちに対して、少しは著者としての情報発信をしておこうと思います。
賃金デフレこそがデフレ不況の原因であり、その背景には、日本銀行の金融緩和があったという主張は、以前書いた『日本経済の奇妙な常識』でおこなったものです。今回の『日本の景気は賃金が決める』は、さらに進んで「賃金格差の拡大が不況の根本原因であり、低賃金グループの人たちの賃金こそが大幅に上がるかたちで賃金格差を是正しないと、日本の景気の本格的な回復はありえない」と主張し、そのための政策を、いまおこなわれているアベノミクスを現実的に少しずつ修正することで実現しようと提案するものです。
なぜ、賃金格差が問題なのかについては、データを示して解説しています。低賃金の人たちは、それゆえに追加でもらったおカネをほとんど消費に回して、景気をよくする人たちです。他方、高賃金の人たちは、安倍政権が財界にお願いして実現しそうなボーナスアップなどを、おそらくかなりの部分、貯蓄(住宅ローン返済もマクロ経済では貯蓄にふくまれます)に回してしまい、それゆえに景気を悪くする人たちです。個々には、これと異なる行動をとる人がたくさんいますが、日本全体で平均的にみると、このような傾向が顕著です。
問題は、日本の賃金格差の背景にある社会構造をみると、ある意味で、アメリカよりもずっと不平等であることです。日本の賃金は、「男性・大企業社員・正規雇用・長期勤続(中高年)」の属性をもつ人が突出して高く、これらの属性のどれかがなくなると、平均的には、大幅に賃金が下がります。「女性・中小零細企業社員・非正規雇用・短期勤続(若者)」のどれかの属性をもつ人たちは、世界の主要先進国中で最悪といえる賃金格差に直面します。属性による賃金格差がひどいという意味で、私は、日本の賃金格差はアメリカよりずっとひどく、賃金はきわめて重要ですから、日本はアメリカより不平等な国だといえると考えます。
中国の経済格差も相当にひどいのですが、ある程度以上の経済力がある国では、相対的な貧困が問題になりますから、日本は、中国に似た感じの経済格差を抱えていると みてもいいでしょう。これが少子化にもつながっています。
女性にこそ読んでほしい、中小零細企業で働く人にこそ読んでほしい、非正規雇用のかたちで働く人にこそ読んでほしい、若者にこそ読んでほしいと考えて、今回の本を書きました。
つまり、私は、単純に賃金が上がればいいなんていっていません。女性の賃金が上がること、中小零細企業で働く人の賃金が上がること、非正規雇用者の賃金が上がること、若者の賃金が上がることが、日本の本格的な景気回復のためにはどうしても必要なのです。方法はあります。過去の日本経済で起きたことを参考に、データを示してそれを論じています。どうぞよろしくお願いいたします。

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