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2013年5月 4日 (土)

ビッグデータ時代と騒がれる一方で、日本のマスメディアのデータ読解能力はこんなに低レベル

数日前、テレビ局(TBS)のニュース報道のひとつが、ヤフーのトップページで紹介されていたので、読んでみたら、あまりにひどく、もしかすると、TBSがどこかの金融機関と組んで新たな悪徳商法を始めたのかと、つい疑いたくなるような内容でした。おそらく、単に、計算ができないだけなのですが、この報道を信じて結果的に大損してしまう人がたくさん出そうなので、かなりまずい報道内容です。
下記のものです。
住宅ローンの金利変動リスクを何倍も過大評価した計算が示されていて、消費者を不適切に脅す結果になっています。
記事のなかで、具体的な計算が示されているのは、たった1箇所だけ。その計算はファイナンシャルプランナーによるもので……、
2500万円で金利が1.5%上がると計算すると、月額1万3000円上がる。35年間で550万円増える
というもの。
この計算、単純な計算としてはほぼ正しいようにみえて、そもそも、住宅ローンでこんな計算をするようでは、これを示したファイナンシャルプランナーは、金融の基礎知識がまったくないといえます。……これは、特定のファイナンシャルプランナーの問題でなく、日本では、マスメディアなどで比較的知られたファイナンシャルプランナーでも、この程度の(アドバイザーとしてはまったく信用できない)レベルの人がたくさんいます。
日本の報道の問題としては、こんな低レベルの、しかも、内容としては「変動金利で住宅ローンを借りている人の不安を不適切に煽るもの」が、テレビ局内のいろいろな段階のチェックを通り抜けて放送され、しかも、インターネット上のヤフーのトップサイトで紹介され、かつ、私が読んだときには、この内容の基本的なまちがいを指摘するコメントなどつかず、このまちがいがどんどんインターネット上で広がったと思われることです。
さて、なにがまちがいか?
実際に住宅ローンの計算をしたことがある人や、銀行で少しでも働いた経験がある人は、簡単に気がついたでしょう。もちろん、いま金融機関で働いている人や、ちょっとは金融についてわかっている大学生なら、気がつかないはずがないレベルの、初歩的なまちがいです。
第1に、この計算は、35年間、ローンの元本をまったく返済しないことを前提にしています。そんな住宅ローン、あるわけない。
第2に、いきなり金利が年1.5%上昇するという前提で計算しています。もしそうなれば、日本の金融市場がパニックになり、当然、金融政策のやり方も大幅に変更になるかもしれません。そもそも、異常すぎる前提です。
だから「550万円増える」というのは、とんでもなく過大な金額で、これをローンではなく、資産運用の話に置き換えると、たとえば30万円ぐらいが適正な株価であるような株について、「いまなら、超特価の100万円で買えます」と煽るようなものです。これを実際にやると、「未公開株詐欺」と呼ばれる悪徳商法になります。
多くの日本人にとっては、資産運用よりも、住宅ローンの金利選択のほうが大きな影響をもちやすいので、今回取り上げた報道は、本当にひどいものです。……いまどき、悪徳商法の広告塔となっている専門家でも、ここまで過大な数字になるような計算はしないように思われます。
ビッグデータ時代とか、統計学ブームとか騒がれているのに、こんなに基本的なまちがいがある数字がテレビやインターネットを通じて広がってしまう。残念です。日本のマスメディアは、統計学ブームを取り上げる前に、ふつうに計算チェックをする体制を整えるべきでしょう。

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