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経済・政治・国際

2014年10月16日 (木)

南山学園が野村證券などをデリバティブ損失の件で訴えた!

あちこちで記事が出ていますね。

ふつうにやったら勝てませんよ。いろいろ問題がありすぎです。
もちろん、証券会社のほうにも問題はある。
とりあえず、私自身は、南山側からでも、野村側からでも、もしご依頼があれば、喜んでアドバイスをしようと思っています。一般投資家に悪影響を与えないかたちでさっさと解決してほしいからです。どちらが勝ってもいい。速やかに、変な影響をもつ事例にならないように決着してほしい。そのためなら、どちらにでもアドバイスはします。有料ですけど。
三井住友銀行相手の金利スワップ裁判では、高裁での逆転を最高裁で再逆転されましたが、野村證券相手の当時の資産運用商品の裁判では、ものすごく実績があるんですよね。私は。おまけに、南山学園のほうの問題点もいろいろと知っています。
いまさら南山学園が勝っても、一般投資家には利益がない。負け方がひどいと、悪影響がある。それを避ける手伝いを私がする必要はないけど、万が一、なにかご依頼があれば、どちらにつくこともありうるし、その場合、一般投資家に不利益にならない決着に協力できればと思っています。
実際には、どちらからも嫌われているから、依頼は来ないでしょう。
あ、メールはこのブログから送れるはずです……どうせ来ないけど、こんな件でいまの特任教員先経由で連絡が来ても困るので、一応、書きました。

2014年8月 6日 (水)

NHKが「ビッグデータ」について報じたニュースが、ひどすぎる!

久々の記事だから、おそらく読んでくれる人が少ないと承知しつつ、しかし、とにかく問題提起をしたいので、書かせていただく。

 
69年前に原爆投下があった8月6日、広島の家で式典を観ていた(大雨警報発令中で、学校に登校しなくなった息子に8時15分の黙祷をさせる必要があった)ので、そのままNHKをつけていたら、下記のニュースが流れた。短い時間のニュースでわざわざ取り上げていたわけだが、内容を聞いて、とにかく唖然とした。
 
商品の購入記録やカーナビゲーションの位置情報などの「ビッグデータ」を企業が利用することについて、半数近くの人が「期待より不安が大きい」と感じていることが、大手広告代理店などの調査で分かりました。
この調査は大手広告代理店の「博報堂」と「日立製作所」がことし6月、全国の20代から60代の男女にビッグデータの活用についてたずねたもので、およそ1000人から回答を得ました。
それによりますと、商品の購入記録やカーナビの位置情報などを企業が利用することについて、「期待より不安が大きい」と答えた人は48.8%で、去年より7.3ポイント増加しました。
また「プライバシーの侵害に不安を覚えることがある」との回答が88%に上り、その理由として「目的以外で利用されるおそれがある」や「利用を拒否できない」などが多くなっています。
とりわけ健康診断の結果や学力に関する情報の利用は「同意が条件」と答えた人が半数を占め、本人が特定される個人情報ほど慎重な利用を求める傾向がうかがえます。調査にあたった博報堂の森保之さんは「不安を解消するには、企業が今以上に情報管理を徹底するとともに、しっかり管理していることを外部に発信することが重要だ」と話しています。
 
この調査結果、明らかに「消費期限切れ」で、食品であれば「毒入り、危険」といっていいレベルのものだ。調査が6月で、そのあとの7月にベネッセの事件が発覚し、その被害の拡大状況がまだいまも少しずつ明らかになっている状況だから、食品であれば、廃棄して作り直すのが当然というレベルのものだ。
 
つまり、食品関係のお店や企業なら、即座に営業停止になるレベルの仕事を、NHKはおこなったことになる。コンビニやスーパーが、腐って異臭を放つ食品をそのまま販売したら、なにが起こるかを考えてみればいい。ベネッセの事件が大々的に報道され、いまもまだ注目度が高いことを考えれば、「6月の調査結果を報じることが、それほど悪いこととは思いませんでした」という言い訳は、このケースでは通じない。報道のド素人だと認めることになるからだ。
こういう報道は、広告代理店を通じてCMを流す企業を集め、企業からお金をもらっている放送局がやればいい。それでもなお、こういう報道をすれば、国民がマスメディアを信じなくなることを覚悟してやるべきだ。
 
たった1000人の回答での調査結果だから、NHK自体がいま調査し直して報じることもできただろう。6月の結果を報じるぐらいなら、8月初めに100人に調査した結果のほうがまだマシだっただろう。また、せめて、これは6月調査であって、ベネッセの事件を反映していないことを強調しながら報じるべきだった。
 
皮肉なことに、こうしたテレビ報道が、日本国民のビッグデータ活用への不安をさらに増大させる。最近のNHK(悪いのは、おそらく一部の部局だろう)は、このようにして「大企業に媚びる報道」が目立つのだが、これは「贔屓の引き倒し」パターンの報道といえる。まともに「媚びる能力」すらないというのは、残念なことだ。
 
NHKは、それでもまだ、日本のマスメディアのなかでは良識的な報道ができるテレビ局だと思う(個人的には、NHKに関わるとすごく大変だから、嫌われたほうがむしろありがたいが……)。経済報道に関わる人たちは、もっと勉強してほしいと願っている。

2014年1月14日 (火)

経済学思考トレーニングの題材をひとつ......新刊『スマホは人気で買うな! 経済学思考トレーニング』日経プレミアシリーズも発売中

CNN.co.jpの記事から。

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(2014.01.12 Sun posted at 15:14 JST)
(CNN) 米東南部バージニア州の地方裁判所は12日までに、女性が2010年にのみの市で「7ドル」(約728円)で購入したとするフランス印象派の画家ピエールーオギュスト・ルノワールの作品を、米メリーランド州ボルティモアの美術館への返還を命じる判決を下した。
約14センチ、約23センチ大の絵はルノワールが愛人のために1879年に描いたとされるセーヌ河畔の風景画。評価額は7万5000ドル~10万ドル(約780万~1040万円)とされる。
絵はその後、パリのギャラリーに買い取られ、1926年にはルノワール作品の収集家が購入していた。37年に収集家の前妻がボルティモア美術館に貸し出していたが、51年に盗まれる被害を受けた。
約60年後の2010年、バージニア州居住の女性がウェストバージニア州で催されたフリーマーケットで変哲もない箱が気に入って7ドルで購入。この中に、人形やプラスチック製の牛と一緒に絵が入っているのを発見していた。
女性は同州アレクサンドリアの競売企業ポトマック社に持ち込み、絵の鑑定を依頼。同社は偽物ではないと判断したが、首都ワシントンの国立美術館やルノワール作品の専門家などがさらに調べ、本物と判明した。
ボルティモア美術館から盗まれた後の約60年間、この絵がどこにあったのかなどは不明。同美術館の幹部は12年にCNNの取材に応じ、「人生に紆余(うよ)曲折はつきもの。絵の持ち主が変わっていった背景を推測するのは大変難しい」とも語っていた。
女性は、バージニア州の裁判所の返還命令を受けたものの、絵の正当な所有権は自らにあるとの気持ちを抱いている。
一方、ボルティモア美術館は絵の返還を望んでいる。
絵の所有論議に決着がつくまで、米連邦捜査局(FBI)が絵を保管することになった。
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この話は、法律のクイズとして考えるとおもしろいのは当然として、経済学思考のクイズとしてもおもしろいでしょう。経済学者は、当然ながら、価格をつけておカネで決着をさせるのが好きです。では、経済学者からのクイズ。
「この絵の対価を、美術館がいまの持ち主(記事のなかの「女性」)に支払うとしたら、いくらか?」
もちろん、正解はひとつではないでしょう。私自身、ゆっくり考えないとわからないと思っているので、時間があるときにしっかり考えるつもりです。
★★★★★
ところで、拙著『スマホは人気で買うな! 経済学思考トレーニング』日経プレミアシリーズが、数日前から発売になっています。
01
しかも、すでに増刷が決定しています。ご購入いただいたみなさま、本当にありがとうございます。
68問のクイズを解くことで、経済学思考トレーニングができるという本です。昨年のベストセラー『戦略思考トレーニング』(日経文庫)の経済学版として企画されたのですが、日経プレミアシリーズに昇格(?)しての発売となりました。冒頭の問題は、南山大学経済学部で最後に教えたゼミ生の卒論からネタをとっていて、先週、彼に久しぶりに会って、見本を渡しました。
いま教えている関西大学会計専門職大学院の講義でのネタもいくつか入れています。
明日、日本経済新聞に広告が出る予定だとうかがっています。
内容的に、いろいろと批判されるところもありそうですが、本当に際どいネタは、編集サイドの要望でカットされています。
また、過去の拙著からネタをとっている問題もあり、内容の確認になるともいえますが、ネタが重複しているとのお叱りもあるでしょう。経済学の初心者でもバランスよく経済学思考を身につけられるようにとの意図がまずあり、どうしても同じネタを使わざるをえなかったものについては、ご容赦いただければさいわいです。『戦略思考トレーニング』のシリーズは、問題数が51問と決まっていますので、68問を載せた本書は、過去の拙著とのネタの重複があっても、少しお得なはずだと思うのですが……。
どうぞよろしくお願いいたします。

2013年7月 7日 (日)

アベノミクスをどう評価するか?

参議院選挙期間に入り、マスメディアがアベノミクスをどう評価するかを論じています。
◆◇賃金
ポイントのひとつは「賃金」で、これについては、4月に出版した拙著『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)で論じていました。景気を考えると、「賃金」そのものも大切ですが、「賃金格差」のほうが大切です。
ブログでご報告していませんでしたが、拙著については、複数の新聞書評も出ていました。
賃金格差のポイントは、「男・女格差」「大企業・中小企業格差」「正規・非正規格差」「若者・中高年格差」の4つだと、私は拙著で指摘していますが、そのうちの男女格差については、私が「日経WOMAN」という雑誌に書いたコラムのなかで、簡単に指摘したものが、日本経済新聞のサイトに出ています。
ネット上での書評についても、たくさん書いていただきましたが、影響が大きかったと思われるものを3つ挙げます。
◆◇成長戦略
ポイントのもうひとつは「成長戦略」です。
これについては、いま本の原稿を書いています。そのうちのわかりやすい部分を簡単に指摘したものを、これも「日経WOMAN」のコラムに書きましたので、紹介させていただきます。
ではなにをすべきか、ひとつには、製造業よりサービス業に注目するべきだと思います。これは拙著のなかで書きました。
もうひとつは、自然に成長する市場に注目するべきだと思いますが、この点は、いま書いている本のなかでデータを示します。しばらくお待ちいただければさいわいです。

2013年5月18日 (土)

日本のマスメディアは、大学生の就活結果のデータを読むときに「就職率」に気をとられすぎている

昨日、文部科学省と厚生労働省が共同でおこなっている「大学,短期大学,高等専門学校及び専修学校卒業予定者の就職内定状況等調査」のデータの公表があり、さっそく、マスメディアが報道で取り上げていました。
下記に引用したのは、その一例。
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 今春卒業した大学生の就職率は4月1日現在で、前年同期比0.3ポイント増の93.9%と、過去最低だった一昨年の91.0%から2年連続で上昇したことが17日、文部科学省と厚生労働省の調査で分かった。このうち女子の就職率は94.7%と前年同期より2.1ポイント上がり、93.2%と1.3ポイント下がった男子を5年ぶりに上回った。
 両省は大学とハローワークが連携した就職支援が進み、中小企業を働き場所に選ぶ大卒者が増えたと分析。男女の逆転は「女子の採用が多い医療や介護分野の求人が伸び、男子の就職が多い製造業の求人減が影響した」とみている。
 大学生の就職率は1997年の調査開始以降で6番目に高い水準。女子は就職希望率でみても高く、79.7%で過去最高を記録。働く意欲の高まりを示したほか、短大卒の女子の就職率も過去最高だった。
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さすが日本経済新聞といいたい点がひとつあるが、全体的には、公表されたデータをきちんと読んで書いた記事とはいえない。評価したい部分は、「就職希望率」にも言及しているところだが、しかし少しだけ。
そもそも、この調査は、就職率を読んでもほとんど意味がない。属性別での就職希望率のバラツキが大きく、そして、時系列データをみると、内定をもらえなかったことで就職希望者から自主的に外れる学生が多いことがはっきりと読み取れるので、就活の成果をみるには、就職希望率のほうに注目する必要がある調査となっている。だから、就職希望率に少しでも言及した日本経済新聞を褒めたのだが、及第点の記事とはとうていいえない。
この調査は、同じ年度の卒業予定学生について、10月、12月、翌2月、4月(卒業直後)と4回の調査をしていて、そのすべてのデータをつなげて読むべきものだ。ネットで簡単に調べられる。
また、過去の年度の調査もよく読むと、そもそも、女子学生の就職希望率は男子学生に比べて明らかに高い。だから、表面上の就職率では、今回、男女逆転が起きたようにみえているが、前年度も、女子学生のほうが実態としての就職率は高かった(これは長期傾向として続いている現象)とみるべき。

2013年5月 4日 (土)

ビッグデータ時代と騒がれる一方で、日本のマスメディアのデータ読解能力はこんなに低レベル

数日前、テレビ局(TBS)のニュース報道のひとつが、ヤフーのトップページで紹介されていたので、読んでみたら、あまりにひどく、もしかすると、TBSがどこかの金融機関と組んで新たな悪徳商法を始めたのかと、つい疑いたくなるような内容でした。おそらく、単に、計算ができないだけなのですが、この報道を信じて結果的に大損してしまう人がたくさん出そうなので、かなりまずい報道内容です。
下記のものです。
住宅ローンの金利変動リスクを何倍も過大評価した計算が示されていて、消費者を不適切に脅す結果になっています。
記事のなかで、具体的な計算が示されているのは、たった1箇所だけ。その計算はファイナンシャルプランナーによるもので……、
2500万円で金利が1.5%上がると計算すると、月額1万3000円上がる。35年間で550万円増える
というもの。
この計算、単純な計算としてはほぼ正しいようにみえて、そもそも、住宅ローンでこんな計算をするようでは、これを示したファイナンシャルプランナーは、金融の基礎知識がまったくないといえます。……これは、特定のファイナンシャルプランナーの問題でなく、日本では、マスメディアなどで比較的知られたファイナンシャルプランナーでも、この程度の(アドバイザーとしてはまったく信用できない)レベルの人がたくさんいます。
日本の報道の問題としては、こんな低レベルの、しかも、内容としては「変動金利で住宅ローンを借りている人の不安を不適切に煽るもの」が、テレビ局内のいろいろな段階のチェックを通り抜けて放送され、しかも、インターネット上のヤフーのトップサイトで紹介され、かつ、私が読んだときには、この内容の基本的なまちがいを指摘するコメントなどつかず、このまちがいがどんどんインターネット上で広がったと思われることです。
さて、なにがまちがいか?
実際に住宅ローンの計算をしたことがある人や、銀行で少しでも働いた経験がある人は、簡単に気がついたでしょう。もちろん、いま金融機関で働いている人や、ちょっとは金融についてわかっている大学生なら、気がつかないはずがないレベルの、初歩的なまちがいです。
第1に、この計算は、35年間、ローンの元本をまったく返済しないことを前提にしています。そんな住宅ローン、あるわけない。
第2に、いきなり金利が年1.5%上昇するという前提で計算しています。もしそうなれば、日本の金融市場がパニックになり、当然、金融政策のやり方も大幅に変更になるかもしれません。そもそも、異常すぎる前提です。
だから「550万円増える」というのは、とんでもなく過大な金額で、これをローンではなく、資産運用の話に置き換えると、たとえば30万円ぐらいが適正な株価であるような株について、「いまなら、超特価の100万円で買えます」と煽るようなものです。これを実際にやると、「未公開株詐欺」と呼ばれる悪徳商法になります。
多くの日本人にとっては、資産運用よりも、住宅ローンの金利選択のほうが大きな影響をもちやすいので、今回取り上げた報道は、本当にひどいものです。……いまどき、悪徳商法の広告塔となっている専門家でも、ここまで過大な数字になるような計算はしないように思われます。
ビッグデータ時代とか、統計学ブームとか騒がれているのに、こんなに基本的なまちがいがある数字がテレビやインターネットを通じて広がってしまう。残念です。日本のマスメディアは、統計学ブームを取り上げる前に、ふつうに計算チェックをする体制を整えるべきでしょう。

日本語という障壁と、日本の労働者

ある調査によると、世界の学生の9割超は海外で働きたいとのこと。
この調査をどこまで信じるか? ……慎重な態度で読むべきデータでしょうが、なかなか興味深いとも感じます(調査方法を変えれば、結果も大きく異なる可能性がありますが)。
卒業後に働きたい国の人気上位は、
1位アメリカ
2位イギリス
3位オーストラリア
4位カナダ
4位ドイツ
6位フランス
7位スイス
8位スウェーデン
9位日本
10位スペイン
とのこと。
失業率、企業・産業の国際競争力を考えると、日本の順位は低すぎる感じです。英語圏の国が上位に来ていることから、日本の場合、海外からの優秀な労働者の流入にとって、日本語が大きな障壁になっていることがわかります。
逆にいえば、日本語という障壁があるからこそ、日本の労働者は国際競争から守られている。これからの日本の経済社会を考えるときには、この点をもっと強く意識するべきだと、私は考えます。

2013年5月 1日 (水)

ビッグデータ時代と統計学についても、新聞・ラジオの取材を受けました

自分の仕事がなかなか進まず、やるべきことができていないなか、やたらに取材対応が入って、かなり疲れました。

昨日は、雑誌の取材の相談、今日は、ラジオの取材を受けました。どちらも、MRIインターナショナルのMARS投資ではないテーマの取材です。その間に、MRIインターナショナルのMARS投資の取材依頼が新しくありましたが、お断りしました。ここから先は、被害者の相談事例が集まっている弁護士が対応するべきで、そうした問題について私がアドバイスなどをすることに露骨に不快感を示す弁護士もいて、彼らとこれ以上トラブルになりたくないので、MRIインターナショナルのMARS投資の話は、自分で啓蒙的な情報発信をしたいときにはブログや著書などで書くかもしれませんが、取材依頼に応じるかたちでの情報発信はやめようと思います。
さて、昨日の取材依頼のテーマは「アベノミクス」で、拙著『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)を評価していただいてのものでしたが、いろいろと話してみると、ご質問の内容(税と財政に関する細かな制度的知識が必要なこと)が私の専門分野とずれていて、その分野(財政)の専門家でアベノミクス関連本の著者はたくさんいますので、他の方にお願いしてくださいと申し上げました。
今日の取材対応は、「統計学がブームになっていること」がテーマでした。この点では、朝日新聞の取材を受けたことがあり、4月17日の朝日新聞(朝刊)にコメントが載りました。
今日は、TOKYO FMの取材で、放送日には東京に行けないので、電話取材を受けました。偶然ですが、昨日届いた、PHP研究所からの電子書籍ダウンロードの実績データをみると、2011年10月に出版された拙著『数字のカラクリを見抜け! 学校では教わらなかったデータ分析術』(PHPビジネス新書)の今年3月(直近データで)のダウンロード数が、異常に突出していました。著名ネット書店のデータでみると、昨年11月から昨年12月にかけて約10倍になり、それが今年2月まで続き、今年3月にはそこから約20倍になりました。数ヵ月で約200倍になったので、本当に驚きです。……とはいえ、電子書籍の市場規模は小さく、紙の本と比べれば、さほどの数量ではありません(紙の本であっても、十分に増刷がかかる数量ではありますが)。
この本については、たとえば2012年2月にトヨタ自動車の東京本社で講演をさせていただいたことがあり、ビジネス上のデータを扱う人たちが読むべき本として評価していただいての講演でした。そのあと、大学生と高校生に対しても、この本の内容をベースにした講演をしました(大学生は、母校の新入生、また、高校生は、著名進学校の1年生が相手でした)。もともと、私が講演会で話すネタで、いちばんウケるのは、データの読み方、そのつぎが金融商品(資産運用)の話です。
そんなわけで、ラジオの取材に応じて、統計学の話をしゃべって、このブログを書いていたら、「MRIインターナショナルのMARS投資をAIJ事件との類似性で論じるのはおかしいと思う」ということをおっしゃって連絡してきた取材依頼があり、そういう方向に新聞報道を変えてほしいという気持ちがありますから、つい取材対応をしてしまいました。
とはいえ、もう1年分ぐらいの取材対応はしたと思いますから、これでやめたいと願っています。本当に、自分の仕事と生活に支障が出ていますし……。

2013年4月29日 (月)

拙著『日本の景気は賃金が決める』のポイントは「賃金格差が景気を決める」と主張していること

スティグリッツ教授が、「アメリカ(米国)は先進国中、最も不平等な国」といっている記事を読みました(無料部分だけですが)。つぎに、中国の格差についての記事も読みました。下記のものです。
ところで、拙著『日本の景気は賃金が決める』(講談社現代新書)の内容について、ネット上の書評などだけで論じて、いいかげんなコメントを書く人たちがネット上にいろいろといます。まあ、ネットなんてそんなものなので、仕方がないのですが、ネット上の情報を検索して読んでからネット書店で本を買うタイプの人たちに対して、少しは著者としての情報発信をしておこうと思います。
賃金デフレこそがデフレ不況の原因であり、その背景には、日本銀行の金融緩和があったという主張は、以前書いた『日本経済の奇妙な常識』でおこなったものです。今回の『日本の景気は賃金が決める』は、さらに進んで「賃金格差の拡大が不況の根本原因であり、低賃金グループの人たちの賃金こそが大幅に上がるかたちで賃金格差を是正しないと、日本の景気の本格的な回復はありえない」と主張し、そのための政策を、いまおこなわれているアベノミクスを現実的に少しずつ修正することで実現しようと提案するものです。
なぜ、賃金格差が問題なのかについては、データを示して解説しています。低賃金の人たちは、それゆえに追加でもらったおカネをほとんど消費に回して、景気をよくする人たちです。他方、高賃金の人たちは、安倍政権が財界にお願いして実現しそうなボーナスアップなどを、おそらくかなりの部分、貯蓄(住宅ローン返済もマクロ経済では貯蓄にふくまれます)に回してしまい、それゆえに景気を悪くする人たちです。個々には、これと異なる行動をとる人がたくさんいますが、日本全体で平均的にみると、このような傾向が顕著です。
問題は、日本の賃金格差の背景にある社会構造をみると、ある意味で、アメリカよりもずっと不平等であることです。日本の賃金は、「男性・大企業社員・正規雇用・長期勤続(中高年)」の属性をもつ人が突出して高く、これらの属性のどれかがなくなると、平均的には、大幅に賃金が下がります。「女性・中小零細企業社員・非正規雇用・短期勤続(若者)」のどれかの属性をもつ人たちは、世界の主要先進国中で最悪といえる賃金格差に直面します。属性による賃金格差がひどいという意味で、私は、日本の賃金格差はアメリカよりずっとひどく、賃金はきわめて重要ですから、日本はアメリカより不平等な国だといえると考えます。
中国の経済格差も相当にひどいのですが、ある程度以上の経済力がある国では、相対的な貧困が問題になりますから、日本は、中国に似た感じの経済格差を抱えていると みてもいいでしょう。これが少子化にもつながっています。
女性にこそ読んでほしい、中小零細企業で働く人にこそ読んでほしい、非正規雇用のかたちで働く人にこそ読んでほしい、若者にこそ読んでほしいと考えて、今回の本を書きました。
つまり、私は、単純に賃金が上がればいいなんていっていません。女性の賃金が上がること、中小零細企業で働く人の賃金が上がること、非正規雇用者の賃金が上がること、若者の賃金が上がることが、日本の本格的な景気回復のためにはどうしても必要なのです。方法はあります。過去の日本経済で起きたことを参考に、データを示してそれを論じています。どうぞよろしくお願いいたします。

日本政府と一部のメディアは、MRIインターナショナルのMARS投資についての自分たちの罪をごまかそうと必死になっている?

MRIインターナショナルのMARS投資について、何度も書き込んでいて、おそらくこれを読んでいるマスメディア関係者もいらっしゃるでしょうから、マスメディアへのお願いを兼ねて、再度書きます。……約10日前に新刊を出したところで、せっかく、いくつもの好意的な書評をネット上に載せていただいたところなのに、わざわざマスメディアを敵に回すかもしれないような内容を書くのは、本当にバカげたことだとわかっています。
しかし、この機会に日本政府とマスメディアのひどさを指摘しておくことで、日本政府も日本のマスメディアもまったく信用できないから、変な金融商品に投資をすると、簡単に全額を失う危険性が高いことを、ぜひ知っていただきたいと思いますから、あえて書きます。
まず、取材を受けたうちで、私のコメントが掲載された(らしい)ものを引用します。下記リンク先の記事に載っています。……ただし、広島で買った産経新聞には掲載されておらず、限られた地域での掲載だったと想像します。
私のコメント部分だけを引用すると……
「MRIの金融商品は、機関投資家ではなく一般投資家を狙った投資詐欺の疑いがあり、構図としては古くからある手口だ。海外に拠点を置き、アメリカの診療報酬請求債権を投資対象とする点が新しいといえる。仕組みが複雑なため、投資家にとっては理解が難しく、同社の高利回りが可能という説明についても疑問を持ちづらかっただろう。投資先を医療制度に関連させたことで安心感を持たせ、破綻しづらいと思わせており、巧みな手法といえる」
取材の際には、「2007年春の時点で私がMRIインターナショナルのMARS投資の情報を得たときに、なぜ、すぐに投資詐欺と断定したか」をていねいに説明しており、他の取材対応でもそうでしたが、当時の「週刊ダイヤモンド(2007年6月16日号)」の記事を必ず読んでもらってから説明しています。そして、産経新聞の記者は、円建てと米ドル建ての金利の差をみれば、すぐに投資詐欺だと気がつくべきものだったという解説に納得したという趣旨のメールを返信してきたのですが、この肝心の部分は記事になっていません。これは、金融の基礎知識がない人には内容がちょっとむずかしい(ただし、FXをやっている人ならすぐわかる)ので、仕方がないとも思えます。
私がブログで最初にMRIインターナショナルのMARS投資について書いてから数時間のあいだに、5人のマスメディア関係者とこの件について話をしました。他に、MARS投資の被害者からのご相談のメールもありました。
マスメディア関係者のほとんどは、AIJ事件との類似性について質問してきました。そして実際に、本件について報じた多くの記事が、AIJ事件に類似したものとして報じています。
しかし、AIJ事件とは根本的に異なる、と私は説明しました。何度も質疑をしたうえでこれに納得してくれた記者もいました。ものすごく荒っぽくいえば、AIJはただ運用が下手で(運用がおそろしく下手な野村證券の出身者がつくった会社ですから、納得できることで)、それで資産をどんどん減らしてしまったのですが、最初から投資詐欺をやりたかったわけではないでしょう。そもそも、運用方法はAIJに任されている。他方、MRIインターナショナルの場合は、MARS投資という明確な運用方法が決まっていて、本当にそれをやる気などないことが、すぐにわかるものでした。つまり、MRIインターナショナルのMARS投資は、最初から豊田商事、平成電電、近未来通信のような投資詐欺として企画されたと考えるべきものでした。詳細は、これから明らかになるでしょうが、6年前に私が投資詐欺にくわしい人たちにMRIインターナショナルのことを話したところ、誰もが「おそらく投資詐欺にちがいない」と推理しました。
ところが、どうやら日本政府がAIJ事件との類似性に注目させるように誘導した記者発表をしたようで、マスメディアもそれに乗っかっています。たとえば、下記のような記事が出ています。
金融知識がない個人を狙って、かつ、新聞広告や芸能人の広告塔を使って資金を集めたところを考えれば、AIJではなく、平成電電や近未来通信などとの類似性に注目すべきですが、そうすると、少なくとも6年前には政府機関のなかにもしっかり投資詐欺の疑いが濃厚との情報をつかんでいる人間がいて、週刊ダイヤモンドのように注目度が高い経済専門誌がきちんと取り上げていたMRIインターナショナルのMARS投資について、日本政府や他のマスメディアがそれを放置し、むしろ被害拡大に手を貸すかたちになったことを追及されやすくなります。
それは不都合なので、AIJとの類似性を強調したいという点で、日本政府と、MRIインターナショナルの広告を載せたマスメディア(さらに、平成電電や近未来通信の広告を載せ、TVCMを流したマスメディア)は、利害が一致するのかもしれません。実際に、AIJのときにはあれほど大騒ぎしたのに、現時点でわかっているだけで1300億円を超えるといわれる投資詐欺のMRIインターナショナルの報道での扱いがいきなり小さくなっています。どういうことなんでしょうか? やはり、本件は扱いたくないのでしょうか?
でも、いずれMRIインターナショナルの実態が暴かれることを考えれば、マスメディアは、AIJとの類似性でMRIインターナショナルについて解説するのをやめて、豊田商事、平成電電、近未来通信のような投資詐欺との類似性で解説するように、早く方針変更するべきだと思います。ぜひ、お願いします。

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